コロンビアの山奥で、百年を超えるカカオの木が育っています。この古い木から生まれるカカオには、長い年月をかけて蓄えられた豊かな味わいが宿っています。
健康なカカオの実は、発酵と焙煎という大切な工程を経て、私たちの知るチョコレートへと変わります。この過程で起こる化学変化が、カカオ本来の力強い香りを引き出すのです。
そして、この深い香りを最も美しく表現するために生まれたのがガトーショコラです。余計なものを加えず、チョコレートの純粋な味わいだけを大切にしたお菓子として誕生しました。
このガトーショコラは、温度によって刻一刻と表情を変える魔法のような存在です。冷たい状態では、はっきりとした苦みが舌を目覚めさせ、カカオの本質的な力強さを感じさせます。そして口の中で徐々に温度が馴染むにつれて、まるで物語が展開するように味わいが変化していきます。
最初に現れるのは、オーク樽で熟成されたワインのような深い木の香り。続いて、マスカットのような爽やかな果実の甘酸っぱさが顔を覗かせ、最後にキャラメルのような濃厚でまろやかなコクが口いっぱいに広がります。
一口食べるたびに、コロンビアの森から始まった自然の恵みと、職人の技が作り上げた特別な味わいの変化を楽しむことができます。ガトーショコラは、古いカカオの木が持つ豊かな香りを、時間とともに変化する美しい体験として私たちに届けてくれる贈り物なのです。


